いや、サユリ独特な温度域の冷たさ、雰囲気とは異なる趣――。
彼女が獣道を抜けた――太陽の輝きが眩しかったのか、手で光を遮り、目をすぼめ、この空間の光量に全身を慣らしていて、まだ彼の存在に気づいていない――。
身長はミナと繭の間に位置し、印象としては細身――。
しかし、「女」を構成する箇所は、男心を擽るに余りある形状と「演出」が施され、それを「完璧」と評する者がいても不思議ではない――。
腰あたりまで伸びた、銀色の髪――ガラス繊維でコーティングされた様な艶やかな髪の毛が風にふわりとなびき、光を浴びた細胞が宝石の如く煌めきを放つ――。
涼しい目元、麗しい唇――通り名に相応しく、彼が気絶した理由に確固たる説得力を持たせる存在が、目の前に佇んでいる――。
「ノアーク―エリザベート―ルナ――」
無意識に囁いた――。
彼の囁きが、風に乗ってルナに届く――。
「あっ――」
ルナが彼を認識し、やや戸惑いを内包した表情の言葉を放つ――。
「ど、どうも――」
突然の出逢いに、彼もまごつく――。
自然な導きの筈――。