「ほぅ――この環境を地獄と説きますか――」


彼の回答に、妙に納得した声色と表情のミナは机に細い指を這わせ、尚も「挑発」を継続し、言葉を続ける――。




「うむ、テルの気持ちはわかったよ――」


「んで、呼び方だけど――テルか、テルくんでいいよね――」


「はぁ――」


「いやぁ、呼び方をどうするか――昨日テルが帰った後、女子らでちょっと話し合った訳よ――」




「その結果、テル、テルくん――それぞれが呼びやすい方を採用するって事で落ち着いたんだけど、異存はないよね――」



ここで「わがまま」を言ったら一体どうなるのか――選びもしない選択肢を隅に追いやる――彼は密かに話し合いが行われていた事に驚きつつも、自分に対する彼女達の気遣いがちょっぴり嬉しくもあった――。


言葉に詰まる――。



「おいおいミナ、そんなに捲し立てたら駄目じゃん――テルくんが困ってるよ――」



彼が黙っているのを気にかけ、繭がミナにおぶさる様に「取り憑き」助け船を入れる――。


「まゆっち、重いよっ――」


「ってか、まゆっちはテルくん派かぁ――」


「だねぇ――」