邂逅から数日――懸案であるルナとの「邂逅」は、未だ実現していない――。
隣で、クラスメイトに「情報」を提供しているマリネは、「大丈夫だよ」と言い、根回しの痕跡を匂わす――。
ミナ、繭もあくまで自然に椿組の友人達に「仕掛け」を施してくれてはいる――。
茜の委員会での行動も、同様――。
しかし、取り巻きの防御は乱れない――。
業を煮やしたミナはマリネに、放課後に校外で彼とルナが話せる様にセッティングを依頼するが、彼はミナの提案をやんわりと却下した――。
彼は、「自然」に拘った――。
故に彼も、椿組の周りをうろうろしたり、覗き込んだりと、あからさまな行動は避けた――。
ミナの申し出は嬉しかったが、それでは互いに「構えて」しまうと危惧し、実際そうなってしまうだろう情景が、彼には見えていた――。
虚実を纏った人間同士が、本音を放出する事はない――。
と、彼女達には言ってはいるものの、彼自身も焦ってはいる――。
「オレ、ちょっと用事あるから――」
ミナに、「奢って」と言われる前に彼は先手を打ち、教室を出た――。