卒業生の中には、政財界や芸能界で活躍している者も少なくはない――彼女らが否定的感情を示し、世論、一般卒業生も「同調」した――。


彼女達にしてみれば、麗しの花園に、訝しい「異物」が混入されるのは、思い出が汚され、心に咲く花畑を荒らされているという感覚を覚えるのは理解はできる――。


男子校が共学化するのは「容易い」が、女子高の共学化は、分厚い鋼鉄製の重いドアを開ける様に困難で、それだけ「閉ざされた」世界なのかもしれない――。





かくして、共学化の為の校舎の改築、募集、受験は粛々と行われ、懸念された女子の受験者数は1割程増えるという以外な現象が起き、嬉しい誤算となった――。


合格者総数の2割に、「花園」への入学が許可された――危機をとりあえず回避した学院側は胸をなでおろした――。



しかし、「甘い」思惑はすぐに「苦い」苦痛に変わる――。


男子合格者の入学辞退が続出した――彼らもあくまで本命は国公立の高校狙いであり、まさかの滑り止め、もしくは「記念受験」の意味合いが深かったのか、「本気」で彼女らと対峙する事を本能では拒んでいたのかもしれない――。