「ごめんっ――――」
ぶつかった女性は、大丈夫か――謝らなければという彼の想いが強制的に意識を目覚めさせ、体を動かす――。
「いててぇ――」
衝突の残り香を消す様に、手で額を擦る――。
「気がついた――」
茜がパイプ椅子に座り、安堵の眼差しで言った――。
白い掛け布団、白いシーツ、白い枕、仕切られた白いカーテン――。
保健室に運ばれ、どの位眠っていたのだろう、窓側のカーテンが夕日を浴びて橙色に染まっている――。
「ずっと、ついててくれたのか――」
「う、うん――」
瞳が照れて、自分の膝元に視線を落とした茜が答えた――。
「そうか――こんな時間まで、すまない――」
「そうだっ、ぶつかった女子生徒は無事かっ――謝らないと――隣のベッドかっ――」
やや捲し立て気味に彼は茜に尋ねた――。
「テルくん実は、その――」
ちょっとした「女心」を遮断する彼の問いに、膝元から横方向へ目線を移動させた茜が、小さく言う――。
「それは、私から説明します――」
カーテンの向こう側で、甘い声色の女が言った――。