「多分これから3年間、私とテルくんが学級委員だと思う――」
進んで学級委員に志願する者などいない――。
彼は、「わかった」口調の笑顔の裏に潜む、本音の茜を感じた――。
「そうかもしれないな――そうなった時は、またよろしく――」
「うん――」
悟る様に言い、はにかむ茜を見て、彼はこうも思った――来年の、いや、常識を覆し今年の秋頃には生徒会長選挙に立候補しているのではないかと――。
小学校、中学校と学級委員の道を想像するに歩んだ茜にとって、高校に入学、クラスの委員長に就任する事は必然であり、茜の日常なのではないか――。
茜自身も、嫌々やっている感じもない――誰もやらないから、自分がやる――。
そこに、茜なりの価値観と「居場所」を得ている――茜の声と表情から彼が読み取り、導いた結論であり、そんなに的外れでもないだろうと思っていた――。
「いけない、遅れちゃう――」
腕時計を見て茜が早足になる――。
話している内に、歩くペースが鈍化していた――。
「遅れたら、また蛇に睨まれちゃうね――」
「それは嫌だっ――」