あいつらの颯を怪我させようとした理由は何と『モテるからウザかった』ということだった。
まあ確かにあいつは走っている時だけは格好いいかもしれないけど。
ていうかそれでいつも走りを見に行かないんだけど。見てるとむずむずするっていうか、体温が上がるっていうか。

とりあえずそんな事で頑張っている人の邪魔をするなと説教してあたしはその場を去った。
後ろから
『すいませんでした、姉御!!』
とか言う声は聞かなかったことにする。
ともあれ、

「良かったぁー!」
「何が良かったんだ?」
「そ、颯!!あんたどっからわいてきた!?」
「それより、何であいつらと一緒にいたんだよ?」
「うーん……説教?」
「はあ!?」
「あと一位良かったね、あたしと勝負する前に負けなくて」
(さっきの可愛さは何だったんだ……?)
「どうしたの?」
「何でもねえよ……」

『ただいまより男女混合団対抗レースを始めます。出場選手は―』

「じゃあ行こう。決着を着けに」
「……そうだな」