「……いつも、ありがと」


いつものように、家の前まで送ってくれた。

……って言っても、となりどうしなんだけどね。


「おう。じゃあな」


大空が自分の家へとあるいていくうしろ姿を、ボーッとみつめる。






『笑いごとじゃないだろ?』


大空に言われたことばを思いだす。


“笑うな”って、

笑わないとやっていけないんだよ……。


笑って言わないと、涙がでてくる。


「……うぅっ……大空ぁ……っ、死にたくないよぉ……っ」


あたしはその場にしゃがみこんで、うずくまった。






───グイッ


「俺が死なせねぇから」


腕をつかまれてみあげると、家にはいったはずの大空が立っていた。


「俺がいるじゃん。ひとりで泣くなよな……」


そう言って、大空の腕にやさしくつつみこまれた。


そんなことされちゃうと、せっかくとじこめていた想いがあふれでちゃうよ……。


大空が好き。


ちいさいときから、ずっと、ずっと、大空のことが大好き。


でも、もういなくなるあたしは、このきもちをつたえちゃだめなんだ。