大空の自転車のうしろにのる。


中学のときからずっと、大空の自転車のうしろはあたしの特等席だ。


「風がきもちいい……」


大空につかまりながら、風をかんじる。


青い海がひろがるちいさな島。


学校もだけど、島の人口じたいがすくないから、とにかくみんな仲がいい。


あたしは、この島にうまれてしあわせだ。


「大丈夫か?」

「え、なにが?」


風でゆれる髪を耳にかけながら、大空にきく。


太陽の光で、海がキラキラしている


「なにがって……」


あっ……。


言いずらそうにする大空をみて、ハッときづく。


「全然大丈夫だよ!元気だしね」


心配そうにする大空に、ピースサインをする。


「ならいいけど……。むりすんなよ」


いつもはいじわるなのに、たまにやさしい。


「もぉー!大空ってば心配しすぎぃ。あたしまだ死なないよぉー?」


そう言ったとたん、大空が急ブレーキをかけたから、あたしは大空の背中に思いきりだきつくカタチになった。


「わわっごめん……、びっくりしたぁ。急にどうしたの?」

「───だろ……」

「え?」


「笑いごとじゃないだろ?」


そう言った大空の顔が、こわかった。