ー ー ー ー
「やーっぱり!」
嫌な予感は的中した。
放課後、大空にむりやり準備室につれてこられたあたし。
「だって、俺ひとりじゃ嫌だし……」
「それは大空が寝てたからじゃんか!あたしはちゃんと授業受けてたもんっ」
フンっとそっぽをむいてすねていると、口のなかになにかをいれられる。
「んっ?……あ、め?」
口のなかでコロコロころがして、味をたしかめる。
……あたしの好きな、ソーダ味だ。
「海音、むかしからそれ好きだろ。それやるから手伝って」
口のなかでシュワシュワするのがおもしろくて、ちいさいときからアメのなかでいちばん好きな味。
おぼえていてくれたんだ……。
「も、もう、しかたがないなぁ……。今回はとくべつだからね」
あたしはぞうきんをもって、棚をふきはじめた。
「サンキュー」
白い歯をみせて、ニカッと笑う大空。
うっ。
……あたしは、この笑顔に弱い。