「すみません。──あれ?誰もいない。」ちゃんと断ってからと思ったけど、仕方無い。
扉に一番近い席にすわった。
(──ツラいな。)まだ、耳鳴りは収まらず、むしろひどくなってる。あたしは目を瞑った。
ーside???ー
遠征から帰る時、見慣れない服を着た女性が倒れていた。
引き連れていた部隊に〝待て〟を命じ、その女性の方へ歩いた。
(──黒髪に、白い肌。)うつ伏せに倒れていた女性を仰向けにすると、顔が分かった。小顔で鼻は高い。唇は柔らかそうだ。
(─かわいい。)そう思った。その女性の状態を看て、
(──よかった。気を失ってるだけみたいだ。呼吸も確りしてる。だが、一応医者に看せた方が良いな。)その人を横抱きにし、部隊に撤収を命じた。
国に帰り、医者を呼んだ。…事情が事情だけに信頼出来る奴を呼んだ。
「──んで、俺が呼ばれた、と。」そう言うと俺を見た。頷くと、さっさとしろ。目線で言うとソイツは女性を看ると、眉をしかめた。