イシュルト地区に着くとそこは地獄絵図のような惨状だった。

焼けた家に水車、屋店。噴水も壊れて辺りを水浸しにしていた。

以前、見た緑の多い公園は見る影も無い。

元公園だった所に炎を放ち続ける一人の…いや、あれは居なくなった筈のクイーン。

物の焼けた匂いが刺激臭になってる。

禍々しい炎。対抗するかの様にクロードの炎がぶつかる。相殺されてまた、能の拮抗が始まる。あたしはクロードの為にイシュルト地区に入る前に使った補助の力を強める。

「ッ!!ダメだ!レイカ、君一人の命じゃないんだ!!」クロードが叫ぶ。けどあたしは手を弱めない。

「大丈夫。この子たちはそんなに弱い子はじゃない!」──夢で見た映像だった。

―今は討伐じゃなくて退ける事だけでも…!

考えても良い案が無い。…増援を呼ぼうにも他の人は逆に足を引っ張るだけ…あたしとクロードだからこそこの状態が保てている。一体、どうすれば…。そんなとき思いもよらぬ所から増援が来た。

「時宮雪奏。助太刀致します。」その言葉と同時にこちら側の疲労感が無くなる。

「同じく時宮颯斗。」炎が火炎流になった。…風使い、か。