「ふぅ~」心地ついてると横から

「俺も貰う」ってクロードに盗られた。…喉仏が上下に動いてる。クロードはちゃんと髪の水分とって無いなら首を伝って水滴が流れてる。

「もぅ。クロード、髪、ちゃんと拭かないと風邪引いちゃうよ?…乾かして上げるから座って?立ったまんまだと届かない。」と言うと椅子に座ってくれて取りあえずのタオルドライ。…これをちゃんとしたら髪も痛みにくくなるしね。後は乾かす前に髪に一旦櫛を通すこと。…自分がやってる場合と同じ様にした。

「…レイカ、手慣れてるな。やったことあるのか?」むすっとしてる。…もしかして?

「勘違いしてる?中学生の頃…確か14歳位の時に『職業訓練週間』ってのがあって5日間仕事を体験する行事があってね?あたしがやったのが美容師の訓練だったの。そこでの経験からだよ。…本当は音楽系に行きたかったんだけどね?…お父さんが音楽系の有名人だから、ね?」クロードはそれで納得したみたい。…親が有名だとね…胡麻すりやら媚売ってくる人がわらわらと出て来る訳ですよ。──来ないで良いのに。お父さんはお父さん。あたしはあたし。それで良いじゃない。

「さ、終わったよ。…あたし、眠くなっちゃった。」とクロードの髪を完全に乾かしてタオルをリネン入れとく箱(これに入れとけばメイドさんが洗ってくれる。)に入れてベッドに入って、クロードが隣に入ってくれて何時もの様にあたしを抱き枕みたいに。でも、優しく腕で包んでくれた。…クロードのあったかさで瞼が落ちるのが止まらなかった。