「お母さん、お父さん、お兄ちゃん
だあーいすき!」
「あらあら、麗-ウララ-かわいいこと言って
くれるねぇ。
お母さんも麗のこと大好きよ。」
「お父さんだってまけねーぞ!
麗のこと愛してるからなっ!」
「おい、お袋も親父もきめぇぞ。
麗は俺だけ好いてりゃいいんだぞ!」
「ヘヘヘ。
みんなだーいすき!
ずっと一緒にいよーねー!」
「「「あぁ(もちろんよ)」」」
ピピッピピッ
カチ。
「んっ、夢か」
夢ってわけでも、ないな。
過去ってやつ。
懐かしいの見たな。
フッと自嘲気味に笑って布団からでた。
あんな穏やかな日々が続くと
子供ながらに思っていたんだっけ。
そんなの、今考えると続くわけ
なかったってわかんのにね。
どうして最近まで忘れてたのに
夢に出てくんだろ。
今日から新しい学校に
行くから期待してんのかな。
そんなわけないか。
あたしはもう、期待なんてしない。
布団から出たあたしは
いつもどおりご飯とみそ汁を作り
ゆったりと朝を過ごした。
あたしの毎朝の習慣だ。
あたしの朝は必ずご飯とみそ汁。
それ以外は朝はうけつけない。
なんで?
そんなの自分が一番わからない。
あんな夢を見たから、
今日はぼーとしてしまう。
「早く忘れよ」
そう言って新しい学校に行く準備を
した。
新しい学校は
昊空-コウセイ-高等学校
不良が、多いらしい。
そんなのどーでもいいんだけど。
制服を着て、金髪のロングのウィッグをして
目には茶色のカラコン。
これがあたしの学校用の姿。
地毛は明るめの茶色のショート。
自分のこの髪はなんか好き。
でも、この目。
この青の目。
これだけは好きになれない。
あたしは外人でもハーフでもない。
なのにこの目。
この色。
理由はわかってない。
どうして、こんな色になるのか。
ようやくいつも通りの格好になり
学校に行く準備が済んだ。
時計を見ると…
8時30分
なんだ、8時30分かー
って、えぇぇぇぇ!
ちょっと待って、学校って何時からだっけ
パンフレットを見てみると
8時20分完全登校。
はい、終わりました。
転校初日、遅刻決定しました。
あー、どーしよ。
そんなことを考えていると
プルプルプル
電話が鳴った。
ディスプレイを見てみると
(柳瀬さん-ヤナセ-)
どーしたんだろ、珍しいな。
「もしもし?どーしたの?」
「おぅ!起きてたか。
いや、お前のことだから遅刻してねーかと
思ってよ。」
「うん、遅刻決定したとこだよ今。」
「はっはっ!やっぱな。
もうすぐお前んち着くから外出とけ」
「ありがと!助かる」
「おう、じゃあな」
ピッ
「柳瀬さん、さすがあたしのことわかってるな」