『ごめん、、』



そう呟いた後
ゆっくり離れる身体。



温もりがふっと離れ
沈黙が流れる。



その沈黙をやぶったのは鶴谷くんで



『抱きしめてごめん、でも俺、しのぶさんがあの人に取られるくらいなら無理矢理にでもって思って』



さっきまでの威勢の良さから
一転。



申し訳なさそうにそうボソッと話す。



なんだかそれが面白くて



『うん、大丈夫。ありがとう』



気づくとそう言ってた。


抱きしめて最低!

とかじゃなく、ありがとう。


そう言ってる自分に少し驚いた。



『でも一歩リード。抱きしめたし。』



反省したと思ったら
ニヤッと笑い出す。


鶴谷くんらしいといえばらしいのだけど。



『バカね、勝浦さんはそんなこと思ってないってば』



『わかるんだよ』



『ありえない』



『まぁいいや、じゃあ俺だけを考えてね、しのぶさん』



チュッ--



そう言って頬にキスをされる。




『ばばばばば、ばか!』



慌てて頬に手を当てる。



鶴谷くんはニヤニヤ笑って
楽しんでる。


うー、、油断した。



ほんとにスキをみせちゃダメよ私。


鶴谷くんの思うつぼだわ。



にしても、、



鶴谷くんの本気の気持ちっていうの?


それが伝わってきて

ドキドキしたのは偽りない気持ちなのよね。



初めてだったからなのか
もしかすると鶴谷くんのことを
意識しちゃってるのか


わからないけど



私の中で何かが変わってく



そんな気がしたんだ、、。