『.....』
ん?
あれ、笑われるって思ったんだけど
いつもの声が聞こえない
恥ずかしくなってきて
顔を見れなかった私はおそるおそる
隣に座る鶴谷くんの顔を見てみた。
『え、えぇぇぇ?つ、鶴谷くん?』
予想外。
予想外でした
ニヤニヤしてると思ってた鶴谷くんは
手で口元を覆い
下を向き赤くなって
うん。
照れてる?
『な、なんで?照れてる?』
『、、卑怯』
ボソッとつぶやく鶴谷くん
卑怯?なんで?
まだ頭の中はハテナだらけ
処理機能が追い付きません。
はぁぁ
とため息をついた鶴谷くんは
治まったのか顔を上げ
私を見て
『しのぶさん卑怯。気になってついてきたとかなら俺期待するじゃん』
いつものおちゃらけてる顔じゃなくて
真面目な顔。
だからドキッとしてしまった。
少しね。
『ね、ほんとについてきたの?』
その顔に嘘なんかつけなくて
頷いてしまう。
『俺が気になって?』
『そぉ、、言う訳じゃ、、んー、、わからない、なぜか、うん。』
曖昧に答える私に
鶴谷くんはやっといつも通りのニコーッ
て顔に戻って
『へー俺のこと気になったんだー♪かーわい』
そう言った。
うぅ、またからかわれる!
なんて思ったけど
内心ホッとした。
あんな顔で見られたら
ドキッとしてしまうから。
真面目に私のこと
本気なのかもしれないって
そう思ってしまうから。
ううん、違う。
ホントは気づいてしまった。
だってあんな顔されたら
だれだって分かる。
でも気づきたくない。
まだもう少し気づかないフリをしときたい。
私は弱いから。