『ふっ、、はは』
少しの沈黙の後
鶴谷くんが笑い出す。
『な、なに』
『しのぶさん、無理に年上っぽくお姉さんぶっちゃって、かーわい♪』
な、な、な、な、
なんなのこいつーーー!
見透かされてるみたいで恥ずかしくなってきた私。
言い返す言葉も見つからず
顔がどんどん熱くなる。
『仕方ないから今日は諦めてあげる。でも』
言い返せずキッと睨むことしかできない
私の耳元に
『今度は、イイトコいきましょーね♪しのぶさん』
そう囁いて失礼しますと
頭を下げて帰っていった。
私はというと
耳元で囁かれるなんて初体験だった
だから
しばらくボー然としてた。
耳がほんのり熱くなって
言われたイイトコいきましょーねの
言葉にもまた熱くなって
あんな年下の男に何を私は
振り回されてるんだーと落ちこむ。
まだ少し熱くなったまんまの耳を
手で押さえながら
呪文のように落ち着けと言い聞かせ
家へと帰った。