しばらくの沈黙の後



『しのぶさん、、すいません。俺、早とちりでキス、、したことになるんすよね』



そうボソッと言った。



キス?




あ、そう。


あの日は鶴谷くんに唇にキス
されたんだった。



それに、結構なあつ、あつい。



思い出す私は
顔がぼっと熱くなったのが分かった。



『俺、ほんとすいません。気持ち知ってるくせにって思ったらすっげぇむかついて
どうせなら壊してやるって。でも後悔して、あれからなにも話そうともできないし』




そう話す鶴谷くんは
いつもの鶴谷くんじゃなくて

俯いてぼそぼそと話し始める。



チラッと見ると耳が赤くて
なんだかそんな鶴谷くんの姿が
新鮮で笑ってしまった。



『私ね、、最初は鶴谷くんの事。チャラいとかお調子者だーとか思ってた。』 



その姿にドキドキしてた胸も少し、、落ち着いて


ちゃんと言おう。


そう勇気が出た。



『でも、優しいところがあるんだって分かったり、熱が出た時も買い物まで行っておかゆ作ってくれたり、朝までずっとそばにいてくれた。』



そう、あの時みたいに素直に言えればいい。


鶴谷くんが言ってくれたように
ストレートに言ってくれたみたいに。