やっと話してくれたと思ったら、その言葉。


 あたしは確信する。

 やっぱり玲汰先生は……


「最低……」


「そうだよ。だけど……」



 あっさり認めた玲汰先生に驚きつつも、その後の言葉を不思議に思い、玲汰先生の方を向く。




「だけ、ど?」


「……俺、お前のおかげで変われたから」


「えっ……」


「だから、言いたい」



 玲汰先生はあたしを見つめる。


 その表情は、今まで見たどの顔よりも優しくて。

 思わず、息を呑んでしまった。





「ありがとう、千夏」


「っ……」



 一つ、涙が頬を伝った。



 〝ありがとう〟

 その言葉が、嬉しかった。


 〝千夏〟

 初めて名前を呼んでくれたことも、

泣きたくなるくらい嬉しかった。