あたし今日、泣き虫だ。


 自然と涙腺が緩まって、目に涙が溜まっていく。


 玲汰先生の言う〝大切な人〟。

 その意味を勝手に考えて、嬉しくなって。


 玲汰先生はそんなあたしを見て呆れたように笑うと、あたしの頭を撫でた。


「ちゃんと仲直りってやつ、してきたから。弟とも、遊んできたから」


「プッ」


「なっ、なんで笑うんだよ!」


「だ、だって……遊んで、ははっ」



 泣いているのに、可笑しくてつい笑ってしまった。


 感動的な話の途中、真剣な顔でそんなことを言うもんだから。

 玲汰先生って意外と天然なんだ。



「はー、面白い」


「……もういい」



 玲汰先生は拗ねたようにそう言うと、豚の生姜焼きを食べ始める。


「えーっ、話聞かせてよー!弟くんと遊んでどうだった?楽しかったー?あははっ」


 そう笑いながら玲汰先生の肩を軽く叩くと、玲汰先生はあたしを軽く睨んだ。

 そして、すぐに視線を豚の生姜焼きに移す。



「ちょっと無視ーっ!?」


「…………。」


「うわぁ、本当に冷たいね」