「あとね、美和、謝っておいてって言ってた。悪かったって思ってるってさ。」
「うん。まあ俺も、河野のこと責めたりしないし。事態を簡単に捉えていたのは俺だし、生半可な行動を取ったのも俺だから」
「いや、あたしもだよ」
あたしがそう言った後、小さな沈黙が流れた。
だけれどそれは決して重たいものではなくて、〝自然〟といえるような沈黙だった。
次の会話への、準備のような。
「……と、とりあえず、そういうこと。……で、玲汰先生はどうだったの?」
そう、これが本題だ。
あたしの言葉に、玲汰先生は険しそうな表情を見せ、少し俯いた。
その行動に、あたしも不安を覚える。
だけど……聞きたい。
「会え、たの?」
「……親父もあいつも、あと俺の弟?も。ちゃんと幸せそうに生きてたよ」
「そう……なら、良かった」
「まあ、俺の顔を見た瞬間、二人とも泣き出したけどな」
玲汰先生はそう言って軽く笑った。
あたしも少し微笑む。
「……で、ちゃんと話した。あの時思ったこと、今思っていること。もちろん、近況報告もしてきた。……お前のことも話したよ。俺が、会いに来た理由と一緒に」
「……そっか。それで、どう、だった?」
「……向こうは、謝ってきた。特に幼馴染のあいつが。だから俺、言ったんだ。もう、いいからって。俺にはもう、大切な人がいるからって」
玲汰先生は俯いていた顔を上げ、あたしの目を真っ直ぐ見つめた。