「あたし、ずっと二人のことを疑ってた。それが、とても辛かった。だ、って、大好きな親友のことを信じてあげられてない、からっ……宮城先生の、ことも」


 美和はぎゅっと拳を握りしめた。



「だからね、確かめようって思ったの。元々宮城先生の家は知っていたから、一回だけ行ってみようって。もし千夏が来てなかったら、二人のことを信じようと思ってた。そう、決めていた。」


「うん……」



 少しずつだけど、美和の言いたいことが分かってきた。


 だからだろうか。

 あたしも美和も、自然と下を向いていた。



「そしたら、二人が……抱き合ってて。驚い、た。どうしようっておも、った。唖然として、その場に、いた、けど……凄い、ムカつい、てしまって。二人のこと、許せなかった。別に、あ、たし関係、ないのにね。裏切られたような気持ちで、いっぱいだった」


「…………。」



 あたしの狭い狭い視界の端に映る美和の手は、ぎゅっと固く閉じられているけれど、凄く震えていた。




「今思えば、本当に浅はかだったんだと、思う。ただの、嫉妬。勝手な、被害妄想。それで、写真を撮って………本当に、最低だと思ってる。ち、なつ……ごめん。ごめ、んね……っ」



 美和は頭を上げた。

 あたしもつられるように頭を上げると、目の前で美和が泣いていた。


 苦しそうに、悲しそうに、ぎゅっと唇を噛み締めながら。

 美和が泣いた所を何度も見てきたけれど、これほど切ない泣き顔は初めて見た気がする。


 あたしの頬にも、涙が伝った。



「二人のこと、傷つけるつもり、なかった。だけど、どうしたらいいか、分からなくて。だから、今まで千夏を避け、てたの」


「あたしのこと、嫌いになったわけじゃ、なかったんだ……」