「……そうだとは、思ってたよ」


「えっ……」



 先程同様、美和の言葉は驚く内容だったが、さっきまでの冷たい口調が優しくなったことも、あたしは同時に驚いた。




「……まず、あの噂を流したのは、あたしだよ」


「……そ、うだったん、だ」


「……ごめんね。全部、話すから」



 美和は頭を下げた。


 あたしは首を横に振った。

 それを見た美和は、ゆっくりと頭を上げる。



「……あたしね、千夏が鍵を失くした時から、二人のことを疑っていたの」


「鍵……?」



 そんなこと、あったかなぁ。

 そう思い記憶を手繰り寄せると、確かに玲汰先生の家の合鍵を失くしたことがあったことを思い出した。



「あっ、そういえば」


「うん……偶然、宮城先生が千夏の鍵を持っていたのを見て……その時はまだ、千夏の鍵だって知らなかったんだけど。……宮城先生に誰のかって聞いたら自分のだって言うし、後で見つかった千夏の鍵は全く同じだったし。だから……」


「うん、分かったよ。そういうこと、だったんだね」


 美和はあたしと玲汰先生が同じ鍵を持っていたからあたし達の関係を疑った。



 少しずつ明らかになる、真実。

 あたしは一生懸命美和の話に耳を傾ける。