溢れて止まらない涙。

 だけど、溢れ出てくる想い。


 大切な、大切なことを、教えてくれた玲汰先生だから。

 だから、あたしは玲汰先生のことを想っている。


 だから、きっと、あたしは。

 大切な玲汰先生だから、あたしは……。



「それとね、玲汰先生。玲汰先生の家に通っていた日々も、玲汰先生の家に通わなくなってからも、ずっと変わらず持っていた気持ちがあるの。」


「持っていた、気持ち?」



 玲汰先生は、俯きかけていた顔を上げた。




「うん……さっきまで分からなかった。でも、やっと分かったの。あたしね……」



 言葉がつい、詰まった。

 恥ずかしくて、言えない。


 でも、言わなくちゃ……。

 せっかく気付いた気持ちだから……



「あの、ね。えっと……」


 視線を泳がしながら言葉を詰まらせていると。



 ーギュッ






 いきなり、だった。

 だけどあたしはいつの間にか、玲汰先生に抱きしめられていた。