改めて、自分の思いを再確認する。




「あたしと両親の中にあった壁はもう、失くなった。夏希のことも、きちんと向き合って、いつか思い出にするつもり。……あたし、少し勇気を出しただけで変わったよ。強くなった」


「うん……」


「正直、諦めてた。変われないって思っていた。玲汰先生も同じだと思う。だけど、あたし分かったの。確かに、奇跡なんて起きてくれない。でも、少し勇気を出せば、人は変われるんだよ。絶対」



 あたしは玲汰先生の瞳を真っ直ぐ見つめた。


 これが、伝えたかった。


 玲汰先生のおかげで変われた。

 だから、玲汰先生にも変わってほしい。


 あたしのエゴだけど、本当にそう思ったんだ。




「あたしが変われたのはね、玲汰先生のおかげなの」


「えっ……」



 玲汰先生が目を見開く。


 驚いている玲汰先生を見ながら、あたしは話し続ける。


「だからね、あたしのエゴなんだけど……玲汰先生にも、変わってほしくて。幸せに、なってほしくて。だから会いに行かなきゃって思ったんだ」


 あたしの瞳に、涙が溜まっていく。

 だけどその顔を隠すことなく、玲汰先生を見つめ、微笑んだ。


「玲汰先生が、このことを教えてくれたんだよ。ねえ、玲汰先生。玲汰先生も、幸せに、なれるん、だよ……」