やっぱり、玲汰先生は誰が来たのかを確認しない人らしい。


 いきなりドアが開いて、一番会いたい人の顔が目に映った。




「ハロー♪玲汰先生っ」


「……はやし、だ?な、なんでここに……」



 上機嫌に挨拶をしてみると、玲汰先生は驚いたように何度も瞬きをした。




「まあまあ、入れてよ」


 そう言いながら玲汰先生の家に入ろうと玲汰先生に近づくと、玲汰先生はあたしを避けるように道を開けた。


 あたしは玲汰先生が開けてくれた道を通って、家の中に入る。


 玲汰先生は靴を脱ぐあたしを、呆然と見つめていた。




 あたしが靴を脱いで家に上がるのを見ると、玲汰先生も慌てたように靴を脱いで追いかけてくる。





 久しぶりに来た玲汰先生の家に、少し緊張する。

 だけどリビングの殺風景さを見て、変わってないななんて思ってホッとした。



 あたしがリビングのソファに腰掛けた時、玲汰先生は困惑した様子で、

「……ど、どうして来たんだよ」


「あー、うん……どうしても、会いたくなって。しかも鍵、返してないし」


 あたしは鍵を玲汰先生の目の前で振る。



「ああ……」


 だけど玲汰先生は、やっぱり困惑しているようだった。