お父さんがそう口にした。


 あたしは驚いて頭を上げる。


「お父さん……」


「だけど、あなた……」


「大丈夫。千夏ももう高校生だ。……それに、今まで何度も夜いなくなったけど、ちゃんと帰って来たじゃないか。」


 心配するお母さんに、お父さんは笑いながらそう言った。



「まあ、俺らは信じて待っとけばいいんだから。……よし、行って来い」


 お父さんはそう言いながらあたしにシッシッと手を振った。

 まるで、「行け」と言ってるようで。



 あたしは椅子から立ち上がると、鍵を持ってコートを着た。

 そして、走って玄関へ。



 急いで靴を履き、玄関のドアに手を掛けた。



「気を付けてねっ!なにかあったら連絡して……」


 玄関まで来た両親は心配そうだったけど、笑顔であたしを見送ってくれた。



 久しぶりだな、両親に見送られるの。


 少し感動したあたしは、両親に手を振って、

「行ってきます」

 雪の降る外へと飛び出した。