まだ、なにも終わっていない。

 玲汰先生に、伝えないと。


 そうしないと、本当の意味であたしは夏希のことを乗り越えたって言えないから。



 ……会いたい。

 だから、玲汰先生に会いたい。


 会いに行かなくちゃ、いけない。




「……あたし、ちょっと出かけてくる」


「えっ?何所に?」



 外はすっかり暗くなっているし、いきなりそんなことを言い出したからか、お母さんは驚きながら聞き返した。



「……今、会わなくちゃいけない人がいるの」


「え、でも……外はすごい雪よ?」


 お母さんは心配そうに窓の方を見た。



 確かに今は2月。

 真冬だし、雪が沢山降っているのも知っている。


 確か今日は今年の冬一番の積雪量だって聞いた。



 だけど、それでも。


「今じゃなきゃ、ダメなの。お願い。心配させるようなこと、しないから……」


 あたしは頭を下げて、二人にお願いする。



 すると。


「……行って来い。今じゃなきゃダメ、なんだろう?後悔しないために、行って来い」