やっと泣き止んだ時、そう思って少し微笑んだ。





 そして自然と視線を向けた先、玲汰先生の家の合鍵が見えた。


「…………。」



 この鍵を見ていると、思い出す。



『はあ?お前、バカなの?』

『寄るな、来るな、近づくな』

『馬鹿の世話はしたくないんだ。』


 いつも冷たいし最低だったけど。



『うん、大丈夫……』

『……違うだろ、ばーか』

『だってお前、泣いてるじゃん』

『……早く落ち着けよ』


 分かりにくい優しさを持ってる。



『……お前には分かんねぇよ』

『俺は今も、心の何処かで想ってるよ。ずっとずっと、引きずっている。』


 そして、あたしと同じで心に大きな闇を持っているんだ。



 あたしが変わったのは、玲汰先生のおかげだ。

 だから玲汰先生に、伝えなければならないのではないだろうか。


 あたしを変えてくれた、玲汰先生に。


 〝ありがとう〟を。

 そして、人は変われるってことを。