お父さんの説明によって、あたしはお父さんの言うあの日のことを思い出す。




「千夏から聞いた話、思いは想像を絶するものだった。だからどうしたらいいのか分からなくなって……本当に、悪かった」


 お父さんは頭を下げた。



「いや……言われても、仕方ないって思ったし」



 慌ててあたしがそう言うと、お父さんは少しずつ頭を上げた。



「でも、あの後反省したんだ……千夏の気持ちは知らなかったけど、千夏にそんな風に思わせたのは親である俺らだから。責任は俺らにあるなって、二人で話したんだ。だから、母さんが出て行ったお前を迎えに行っただろう?」



 お父さんの口から出てきたのは、あたしを責める言葉なんかじゃなくて、逆に自分を責める言葉で。



 あたしのせいじゃ、ない……?

 お父さんたちはそんな風に思ってたの?


「じゃ、じゃあ、その日からあたしのこと嫌いになったわけじゃ……?」


「ああ、嫌いになんてなっていないし、逆に謝りたかった。責めてしまって深く傷ついているだろうと思ってて」



 じゃあ、じゃあ……


 その後の、気まずい雰囲気は?

 あたしが何度も夜に出て行ったのに、なにも言わなかったのは?

 あたしが嫌いって理由じゃないなら、なんだったの?



「でも、あたし何度も夜に家、出て行ったよね?帰ってこない時もあったし。なのに、何も言ってこなかったじゃない」


「それは……」


 お父さんは言葉を詰まらせた。