驚きながらもあたしは聞き返す。
「えっ、でも……二人ともあたしのこと恨んでるんでしょう?」
あたしがそう言ったことによって、今度は両親が驚く番になった。
「まさかっ!」
「そんな風に思っていたのか?」
二人とも全否定。
もっと重苦しい話し合いになると思っていたあたしも少し戸惑う。
「だって、あたしのこと……嫌ってるみたいだったから」
「そんなわけないだろう!大事な娘だ。何処に子供を嫌う親がいる?」
お父さんはそう、しっかりとした口調で言った。
でも。
あの時も、あの時も。
あたしを見る二人の目は、冷たかった。
「でも……」
「俺らも謝ろうと思ってたんだ。千夏は、なにも悪くないのに……あの日、ついお前を責めてしまって」
「あの、日?」
お父さんが少し俯いた。
あの日がどの日かよく分からなくて、あたしはそう首を傾げた。
「夏希が死んで少しした日の、ことだ。……ほら、千夏が夏希とのことについて話してくれた日だよ」