あたしはぎゅっと両手を握り合った。




「だから、自分勝手なお願いなんだけど……もう、夏希のことを〝思い出〟にしていい、かな?」


 ほんの少し、固く握り合っているはずの両手が震えた。




 もしかしたらこれで、家族は壊れてしまうのかもしれない。


 きっと二人は、あたしのことを嫌っている。



 あの時、言われた言葉。


 最低、も。

 お前が殺した、も。

 お前は要らない、も。


 全部全部、本心なんだと思う。

 だから、怖いけど、悲しいけど、仕方ない。



 それを、きちんと受け入れたい。

 それが、あたしを変える方法だと思うから。








「……なんであたし達に聞くの?千夏がそうしたいなら、そうしたらいいと思う。ねえ、あなた?」


「ああ、そうだ。千夏の好きにしなさい」



 だけど二人から返って来たのは、思いがけない答えだった。