「水素の元素記号?なにそれ」
「いや俺が聞いてんだけど。もしかして元素記号とか全く覚えてない?」
私が頷くと先生は机に突っ伏して、今度は深くため息をついた。
顔をこっちに向けて右手で頬杖をつきながら、空いてる方の手でプリントを指差す。
「1年で習っただろ?スイヘーリーベーボクノフネって」
「ああ!やったねそんなの」
先生はまたため息をつく。
左側の亜美子はシャーペンを置いて伸びをしながら
「終わった~!」
って言った。
「もう終わったの?!」
私が聞くと亜美子はピースで答える。
私だけになっちゃった…。
「待ってるから花も早く終わらしな」
亜美子が肩を叩く。
「頑張る~」
泣きそうになりながら必死に問題を解いた。
もちろん一人では出来なくて、何回も先生に聞きながらだけど。
それでもなんとか全部の問題を解くことが出来た。
「やった~!」
嬉しくてプリントを掲げながら時計を見る。
時刻は17時を回ろうとしていた。
「もうこんな時間?!ごめんね亜美子!早く帰ろ」
急いで筆記用具をカバンに詰め込んで帰る支度をする。