あまりの顔の近さに私は


「ひゃっ!」


なんて間抜けな声を挙げた。


亜美子も大槻先生もクスクス笑ってて、段々と恥ずかしくなる。


「花驚きすぎ」


って亜美子に言われてなんにも言い返せなかった。


だって本当に驚いたんだもん。


大槻先生っていったら1学年の化学の先生で、どの学年の女子からも若くてカッコいいって有名な先生だし。


サラサラで綺麗な黒髪とか、整った顔とか、高い身長が人気の秘密ってとこかな。


学校でも普段あんまり見ることないけど、たまに見掛けるとやっぱりカッコいいなぁって思っちゃうんだよね。


恋とは違うんだけど、目の保養って言ったらいいのかな?


今まで遠目から見ていた先生が目の前にいるっていうこの状況が落ち着かない。


隣に座る亜美子は黙々と手を動かしてる。


私も早くやらなきゃ。


そう思ってシャーペンを手に持ってみるけど、プリントに書いてある問題を見ただけで書く気がなくなってしまった。


元素記号とかさっぱりわかんない。


でも終わらなければ帰れない。


助けて欲しくて大槻先生をチラッと眺めた。


「どうした?」