私が言うと、
「あらら、ご愁傷さま。じゃあ私バスだから先に帰るね!」
って手を振って、本当に帰ってしまった。
潤の薄情者ーッ!
心の中で思ったけど、元はと言えば自分たちが悪いんだよね。
他の人が出している課題を、私たちだけ出してないんだもん。
わかってはいるんだけど、それを認めたくないの。
なんとなく悔しくて。
仕方なく私と亜美子は帰り支度を済ますと、化学教室のある特別教室棟に向かった。
四階建ての建物で、私たちの教室は四階の端っこから二番目。
階段を一階分下りて、化学教室の前で足を止める。
うちの高校は、普段授業を行う教室棟、化学や美術の授業を行う特別教室棟、体育館棟の3つの棟に別れてる。
別れてるといっても教室棟、特別教室棟、体育館棟の順に繋がってるから、移動が大変なのは体育館棟だけ。
「うぅ…中に入りたくない…」
私たちが廊下でブツブツ言ってると、教室の戸が開いて中からおじいちゃん先生が顔を出した。
「そんなとこに突っ立ってないで早く中に入ってこんか」
先生に促されて渋々と教室に入る。
独特の薬品の臭いが私たちを迎えた。