もうじき恋の季節が終わる。
桜の花びらが少しずつ散って、青い葉っぱがちょこんと顔を出す。
ケータイから流れるアップテンポな曲を聴きながら、流れてく景色を眺めた。
眠い…。
心地よい揺れ具合が余計眠気を誘うのだ。
口を押さえてアクビする。
学校から帰ってすぐに「出掛けるよ」って言われて、慌てて着替えて車に乗り込んだ。
お陰で服装は黒いTシャツにデニムのパンツ。
肩くらいまでの長いとは言えない髪は軽く跳ねてて、女の子としてこれでいいのかとも思う。
まあ、今さらいってもどうしようもないけどね。
後ろの座席に座ってる弟の宏汰(コウタ)は、私の隣で運転するお母さんと楽しそうに喋ってる。
宏汰は私の2つ下の弟で中学3年生。
同じクラスに彼女がいるらしい。
私なんて彼氏イナイ歴17年なのに…!
しかも今年の春も彼氏ゲット作戦失敗したし…。
ずーっと出会いを求めてるのに、未だにいい人に巡り会えてない。
というか、いいなと思った人にはだいたい彼女がいるわけで。
だから彼女のいる宏汰がうらやましいんだよね。