その明の発言に、
「そんなの当たり前!」
ニヤッと白い歯を見せて笑う亮介のその台詞にそれぞれが「だな」「だよね」と相槌を打つ。
結局この場を纏めあげるのは勝也ではなく、亮介なのだ。
そんな亮介を好きだなぁ…と思って眺めているというのを、ひなは絶対口にしない。
自分が亮介へのこの気持ちを伝えたら、ここにいる8人がずっと一緒に居られない。そんな気がするから。
「あっ、そうだ!」
「どしたの、ひな?」
突然手をパチンッと打ったひなに首を傾げる梓。
梓以外の他の6人の視線も一気にひなへと向けられる。
皆の顔を見渡す様にしながら、人差し指をピンッと立てるひなの顔がニヤつく。
「卒業記念にさ、この教室の柱に私達8人の名前彫らない!」
この中学校は木造建築だ。
その為、柱に名前を彫るなんて事は容易に出来てしまうのだ。
今日という日の思い出に。
ここにいるこの8人の友情に。
その証を残しておきたい。
そういう気持ちからの提案だった。
「名前か。良いな、それ!」
一番にひなの提案に乗って声をあげたのは亮介だ。
亮介は、今までもひなの提案には必ずと言っていいほど乗ってくれる。
それが、何よりもひなを嬉しくさせる。
「良いね!」
「うん。私も凄く良いと思う!」
亮介が賛成するだけで次々とあがり出す賛成の声。