そう思うと急に自分が悪いことをした気にしかならなかった。


「ごめんな…北原…」



そういって北原の頭をぽんぽんと撫でた。


「ゔっ…ひぐっ…大丈夫…
そりゃ覚えでないよね゛…だっであだじだぢ一回しかあっだこどないもん…」


彼女がはろれつの回らない口でそう言う。


そうだったのか…


でもこれでよくわかった。


彼女が入学したてのころ、俺をじーっと見ていたわけも


俺に必死で話し掛けてくることも


そのたんび彼女の顔が真っ赤だったことも…


いつも俺にかまってもらおうと必死で…
こんなに俺のことずっと想ってくれたんだな…


そう思うとなんだか彼女が愛おしく思えた。