「ふふっ、そうね。
あのね聖奈?」
「ん?」
すこし深刻な顔でママは言った。
「聖奈のパパ、10年前に亡くなったでしょう?」
「うん」
なんでここでパパがでてくるのかはわからなかったけど、頷いて聞いた。
「パパはね、ガンだったの。聖奈と同じガン。気づいたときにはもう末期にはいるところだったの。
…間に合わなかった。
もっと早くにあたしが気づいてればって。
でね、聖奈がパパと同じような状態になって、もしかしたら…?って思った。
聖奈までなくなったら…怖くって…」
今にも泣きそうな顔でママは話した。
始めて知ったことだった。
その頃幼かったあたしは、がんってものをしらなかったから、パパの死因がわからなかった。
そうだったんだ。