先生たちも、腫れ物に触るように私に接した。
こういう子が、キレてしまうと何をするか分からないとでも思っていたのだろうか。
キレたところで、得なんてないと分かっている私は、もちろん何もしないのに。
私の人生、きっとこのまま、何も無く終わるんだろう。
将来に希望なんて持てなかった。
明るい光なんてなかった。
私の心は、常にどしゃ降りの雨、晴れることなんてなかった。
そんな風に考えて毎日を過ごしていた私の人生が、マスターとの出会いによって180度変わっていくことになる。
いつしか私は3年生になっていた。
そろそろ進路先も決定していく秋。
唯一、勉強だけには力を入れていたから特に周りから心配はされたいなかった。
行きたい高校にいけばいい、と。
それには、数少ない母親の記憶の影響があった。
「さーちゃん、いい?
小学生になったら、そこからの何十年って、苦しいけど、お勉強頑張ろうね。
ママもパパもちょっとおバカさんだったから、本当に苦労をしたの。
お勉強が出来ると、色々とラッキーなことが多いのよ。
ママと一緒に頑張ろうね。」
多分、両親の学歴は低いことは確かだった。
それなのにこんなことを言えるのは、やっぱり苦労をしたのもあるし、なかなかデキた母親なのではないかと思う。
不思議と、このことだけは、ハッキリと覚えていた。
それだけ、母親の願いが強かったということなのだろうか。
目的なんか無かったけれど、ただ勉強だけには唯一力を入れたのだった。