叶多side

『叶多っ』

うしろから名前を呼ばれて振り返る。


『おー。どうした結奈?』

『あのねっ、これ。
叶多に!』

そういって差し出されたリボンでラッピングされた袋。

『バレンタインだからな~
ありがとう結奈。』


『ううんっ!
叶多。いつもありがとう‼』

そういいながら向けてくる笑顔は
どこまでも純粋で。

『こちらこそありがとう。
そういや、結奈。
日向にはもうあげた?』


『へ』

あれ。
あーそうか。

『あいつ。今日部活やすみだってさ。
この雨で。』


『そ、そっか。
けど、もう帰っちゃってるかも。』


『いると思うよ。いってきな。』