「その前に夕飯ね。」
「あ、そっか。」
部屋に戻ると、旅館に人が食事の準備をしていた。
外に行っていたと思っていた七瀬は既に席に着いていた。
そして、夕飯を食べたのち、それぞれ自由行動だった。
真中は旅館内を散策。
七瀬は……いつのまにかどっかに行った。
そして俺と瑠璃瑠璃ちゃんは涼しい外に出た。
「んー!空気がおいしい。」
今、隣に居るのは浴衣を着た瑠璃ちゃん。
いつもはおろしている髪をまとめている。
それもまた可愛い。
「星、見に行く?」
「うんっ。でも、見れる場所あるかな?」
「確か、近くに丘みたのがあったからそこで見ようよ。」
俺は、瑠璃ちゃんの手を取ると小道を通り、丘に連れて行った。
時間帯も良く、周りは真っ暗で、唯一輝いていたのは月と星だけだ。
草原に寝転び夜空を見上げた。
「綺麗っ……。」
「すげえな。こんな綺麗なの初めて見たかも。」
「裕美ちゃんも来ればよかったのにな。」
「今頃布団の上でゴロゴロしてるんじゃない?」
「ふふっ。七瀬くんも、外に居るならこの景色見れてるかな?」
やっぱ瑠璃ちゃんは七瀬……なのかな。
そんな彼女を見ると少し悲しく思えた。
この思いは彼女に届くのだろうか。
恋を知らない彼女はきっともう恋に落ちている。
でも、気づいていないのなら俺は諦めない。
いつかきっと自分の口で言葉にして伝えて、振られたら振られたで諦める。
その日まで、思い続けるよ。