「すごい、すごい。分かったんだ。ま、簡単なクイズだけどね。」
「え…？！」
その声に、アタシは耳を疑った。
「林檎…？！」
アタシの親友、戸川林檎の声だった。
暗闇の中から林檎は姿を現した。ただ、これが…、この人が本当に林檎なのか、と疑いたくなるような姿だった。
真っ赤な血に染まったワンピース。
黒く、美しく伸びた髪には血がべっとりと付いていた。
目は、赤く充血していて。
いつもは女のアタシでさえ、見とれてしまう程可愛くて、きれいだった林檎の姿はなかった。

「なんでお前が…？！」
賢也は目を見開いて、しゃべるのもやっと、という感じの声をだした。
「…うちじゃないよ。」
「え？」
「うちはただの人形だから。」
「りん…ご…？」
「うちはあの方の操り人形。」
「あの方？」
「あの方が言った通りに動くだけ。うちはおもちゃでしかないから。」
「あの方って誰？」
「あの方を止めて。うちにはどうしようもないから。」
「答えてよ、林檎！あの方って誰？」
「あのか…。ナゼ教エナケレバナラナイ？」
「？！」
まるで、人が変わったかのように、林檎の声ではない声が聞こえた。でもそれは、確かに林檎の口から出ていて。
「あなた…誰？」