あの子の、声が、した。
「賢也っ!気を付け…!」
「大丈夫だ。聞こえてる…。」
―アンナ姿、簡単ナンダヨ?
「ねぇ。あなた、一体誰なの?目的は何?!」
―自分デ考エテッテ言ッタヨ。1番ノヒントハ、『a』『e』『l』『p』ダヨ。
「馬鹿にしないでよっ!」
―馬鹿ニナンカシテナイヨ?馬鹿ジャナインダッタラ簡単ダヨネ?
「っ…!」
「………リンゴ?」
「え…?」
賢也は目を丸くしながら言った。
「今、賢也『リンゴ』って言った…?」
「血のような赤は…、皮の色?」
「うさぎは?!」
「ガキの頃、弁当に入ってただろ。ウサギの形をしたリンゴ…。」
「じゃあ、『a』『e』『l』『p』は…!」
「リンゴは英語で『apple』。並び替えだな…。」
「どうなの…?」
しばらく沈黙が続いた後、小さな拍手が聞こえた。