「おいっ…!珠璃…?!」
突然のアタシの行動に、賢也は少し戸惑っていた。
「絶対に賢也は死なせない。何にかえてでもアタシが守る。」
「へぇ…?頼もしいお嬢さん。」
「…バカにしないでよ。本気なんだから。」
アタシは、賢也の胸板に押さえ付けたままの顔をゆっくりと上げた。
「はいはい。」
賢也はかなり適当に返事をした。
「とりあえず、ホール行くか…って、その顔じゃあ無理だな。」
「え?」
賢也は無言だったが、半笑いでアタシを鏡の前へと移動させた。
そこに写るものは、赤く腫れ上がったアタシの目。
「嘘ぉ…!やだ…。」
「とりあえず、冷やしてろ。」
賢也は、見覚えのない小さな冷蔵庫から、氷の入った袋を取り出した。
「ねぇ。その冷蔵庫どうしたの?」
「ああ。ジェームスさんが、いろいろと必要だろうからって置いてくれた。はい。」
賢也はアタシに袋を渡した。
「ありがとう。」
アタシはその袋を受け取って、目にあてた。
「珠璃、そのネックレスちょっと貸して。」
賢也はエレナさんに貰った、無線付きのネックレスを指差した。
「はい。」
アタシからネックレスを受け取ると、裏のボタンを押して、スイッチをつけた。