その夜は夢も見ず、特に何事もなく終わった。
次の日の朝。
「珠璃ー!」
「んん…?」
賢也の声で目が覚めた。
「早く起きろって!」
「賢也ぁ…?」
「起きろー!」
賢也は、アタシから布団を剥ぎ取った。
「んゃあ…。ふとんー…。」
「早く起きろって。そのボッサボサな髪のままホールに行くか?」
「え…?ホール…?」
「集会があるんだよ、ホールで。早く行かねぇと、ジェームスさんに怒られるから。」
「集会…?…えっ!嘘!」
「嘘じゃねぇよ!」
「何で早く言ってくれなかったの?!」
「珠璃が起きねぇからだろ。」
「ちょっ…!着替えるから外出といて!」
「はいはい。早くしろよ。」
賢也はドアノブに手をかけた。
「あっ!待って!」
「何だよ。」
思い出した。すっかり忘れてた。今、賢也を一人にできない。
「中…、居て…。」
「は?」
賢也は、驚きを隠せない、といった表情だった。