「何…で…!賢也ぁ!!」
アタシは賢也に駆け寄った。
「ねぇっ!賢也っ…!返事してよぉ!」
今、ここがどこだか分からない空間に、アタシの声が虚しく響いた。
「じゅ…り…!」
「へ…?」
賢也を見ると、かろうじて目を開けていた。
「賢也ぁっ…!」
アタシは賢也を抱き起こした。
「賢也っ…!何があったの…?」
「っ痛…!触んな…!」
「え…?」
見ると、腕に刺されたような傷があった。アタシはそこをガッチリ掴んでいた。
「ごめんっ!」
アタシは慌てて手を離した。
刺されてどれくらいたったのか分からないが、血はまだ乾いていない。
「何があったの…?」
「見た通り…だ…。」
「見た通りって…、分かんないよっ…!」
「俺は…もう死…ぬ…。」
「え…?」
「最後に…言って…おく…。」
「ちょっと…!」
「ありがと…な…。それ…と…、あい…つは…。」
「え?」
「…。」
「ちょっと…!ふざけないでよ…。」
「…。」
「賢也っ…!賢也!嫌ぁあぁ!!」
アタシの意識は、そこで途切れた。