「血のような赤…。うさぎになる…。『a』『e』『l』『p』…?」

―ヒタ…。ヒタ…。ヒタ……。

足音がだんだん、近付いてくる。

「あ…。やっ…!来ないでっ…!」

あの子がアタシの隣に来た。
とてつもない冷気がアタシを襲った。

―フフフ…。ジックリ考エテ、答エヲ出シテミテ…。

「…っ!」

すぐ近くで言われたその言葉に、アタシの体は凍り付いた。

―ヒタ……。ヒタ……。ヒタ………。

「待ってよ!」
足を動かそうとしたが、金縛りにあったように動かない。
「待ってって!!」
足音は聞こえなくなった。
アタシの体は、やっと金縛りから解けて、自由になった。アタシはその場に力無く座り込んだ。
「…じゅ…り…。」
「え?」
今、確かにアタシを呼ぶ声がした。いつもアタシを夢から覚ます、賢也の声ではなかった。
「こっ…ち…。」
アタシは声がする方を向いた。
「なっ…!」
あの子が邪魔で、よく見えなかった倒れてる人の姿にアタシは言葉を失った。

賢也だった。