「和樹…!落ち着いてよっ…!アタシには見えてるから…!」
「それも嘘だろ!」
「嘘じゃないっ!」
アタシは声を張り上げて叫んだ。
「何のために嘘なんかつく必要があるのっ?!」
「じゃあ、床から出ている手、いくつあるか言ってみろよ!」
「…分かった。合ってたら、信じてくれる?」
「ああ。ただし、合ってたら、な。」
「うん。……1…、2…、3…、4…、5…。」
アタシは数え始めた。手が見えていない賢也とジェームスさんの二人は、アタシを不思議そうに見つめていた。
「38…、39…、40…、41…、42…、43…。43本。違う?」
「…正解…だ。」
「よかった…。信じてくれた?」
「…ああ。本当に見えてるんだな。…疑って悪かった。」
「ううん、いいの。…そうだ!…和樹、あのね…。」
「何だ?」
「夢、見たんだけど…。信じてくれないかも知れないけど、一応言っとく。」
「何だよ。」
「……和樹…、死んじゃうかもしれない…。」