「和樹!和樹っ!」
いくら叫んでも、いくら体を揺すっても、和樹は目を開けようとしなかった。和樹の顔は、苦しそうに歪んでいた。
「この手…、何なの…?」
アタシは和樹の首を絞めていた手を外そうとした。でも、アタシの手はその手をすりぬけた。
「え…?何で…?」
「珠璃、ちょっとどいて。」
ジェームスさんが、アタシを退かした。
「珠璃、ここに居ろ。」
賢也が手招きをして、アタシを賢也の隣に立たせた。
「和樹…、大丈夫かな…。」
「…大丈夫だ。」
賢也はそう言ってアタシの肩を持って、キュッと引き寄せた。
「賢也…?」
「心配するな。」
「……うん。」
アタシはただ、大人しく見ているしか出来ない自分が悔しかった。